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ニーハオ!高雄のゲストハウス『あひる家』で~す。
台灣高雄に残る日本統治時代の遺構「旧日本海軍鳳山無線電信所」(以下、「鳳山無線電信所」) のご紹介。
台灣高雄の鳳山に旧日本海軍が使用していた「鳳山無線電信所」がある。
当時、日本三大無線電信所の1つであったとされ、
南洋を管轄する巨大な無線電信所であった。
戦後は中華民国海軍に接収され、
無線電信所として使われた他、
白色テロで多数の人が拘禁された場所として使われた。
現在は国定古蹟に認定され一般に公開されている。
「鳳山無線電信所」として当時使用されていた施設が
残っており、軍事マニアや廃墟マニアに人気のスポットにもなっている。
近年は映画やドラマの撮影も行われており、
(あひる家のオーナーも出演した)
台湾映画「KANO」の撮影現場として使用されているw
目次
日本の三大無線電信所の一つであった『鳳山無線電信所』
②船橋無線電信所
③佐世保無線電信所(針尾送信所)
1917年(大正6年)に建設が開始され、2年後の1919年(大正8年)から運用が始まった①「鳳山無線電信所」は当時、②「船橋無線電信所」や③「佐世保無線電信所(針尾送信所)」と共に、日本を代表する三大無線電信所の一つであった。
戦時中は南方作戦における海軍の通信センターとして、
敵軍の電波妨害や連合軍の艦隊や航空機の動向を監視する役目を担っていた。
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民間にもその使用を提供していたという記録が残っているんだ。
戦後の「鳳山無線電信所」
戦後の「鳳山無線電信所」は3つの時期に分けられる。
②「海軍の訓練所」時代
③「史蹟」として一般公開されている現在
「鳳山招待所」時代
戦後「鳳山無線電信所」は中華民国軍に接収され、
中華民国・海軍の無線通信所として利用されることになったのだが、
無線通信所としての役割の他に政治犯や思想犯を拘束する場所としても使用された。
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「招待所」という名ばかりの拷問施設
「鳳山招待所」という宿泊所であるかのような名前がつけられているが、 実際は政治犯や思想犯を収容し、尋問や拷問をするための施設だった。
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「海軍の訓練所」として使われていた時代
1962年からは「海軍の訓練所」として使われることとなり、
主に海軍で規律を乱した者や落ちこぼれの隊員を束ねる役割をしていた。
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「史蹟」として開放されている現在
「海軍の訓練所」としての役目を終え、
2010年には行政院文化建設委員会により国定古蹟として認定され、
現在は国定古蹟の史蹟として一般に無料で開放されている。
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現在の「旧日本海軍鳳山無線電信所」
史蹟として開放されている現在の「旧日本海軍鳳山無線電信所」。
国定古蹟の史蹟と銘打っているが、管理が行き届いているわけではなく、
廃墟となったこれらの施設をそのまま一般に開放している(だけであるというのは言いすぎかな…)。
日本統治時代の「鳳山無線電信所」として使われていた施設も多数残っており、
廃墟マニアにはたまらない場所となっている。
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以下、日本統治時代の「鳳山無線電信所」で使われていた施設を中心に紹介していきたます。
大要塞
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「鳳山無線電信所」時代に電信所があった場所。
「鳳山招待所」の時代も電信所として引き継がれたようなのですが、
当時は外部の者が入ることができないブラックボックスになっていたため真相は不明…
「海軍の訓練所」の時代には訓練生の寝室として使用されていた。
無線放送局
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十字の形をした珍しい建物。
創立当時から撤去されるまで無線の放送局として使用されていた。
内部にはいつの時代のかは定かではないが通信で使われた通信機器が残されている他、
作戦会議をしたであろう司令室や会議室が残されている。
重厚な鉄筋コンクリートで造られた建物は爆撃にも耐えられるよう耐爆扉が使用されており
こちらの建物がいかに重要だったかを物語っている。
海軍の帽章
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海軍の帽章っぽい…
いつの時代のかは不明…
事務所及び教室
大要塞の前にたたずむこちらの建物は
「鳳山無線電信所」の時代に事務所として使われていた場所。
「鳳山招待所」の時代には客室、尋問室、犯人を拘束する場所として
また「海軍の訓練所」の時代には教室、班の主任の事務所として使用されていたそうです。
「旧日本海軍鳳山無線電信所」の敷地内にあるその他の施設
- 丙号軍官宿舎
- 病院
- 下士官or守衛宿舎
- 下士官or守衛宿舎
- 禁閉室
- 小要塞
- 台座
- 貯水槽
映画KANOで使用された建物
台湾大ヒット映画「KANO」で使用された建物が「旧日本海軍鳳山無線電信所」の敷地内にあるんです!!
こちらがその建物。
「旧日本海軍鳳山無線電信所」のほぼ中央に位置し、
映画「KANO」で部員がお風呂に入りに行くシーンで使われました。
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「旧日本海軍鳳山無線電信所」の場所
住所 | 高雄市鳳山區勝利路10巷 |
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開館時間 | 9:00~17:00 |
休館日 | 月曜日 |
「旧日本海軍鳳山無線電信所」の入口
侵入を防ぐためのバリケードが入口脇に置かれている…
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訪問者は呼び鈴を押さなくてはならない??
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入口を潜ろうとすると赤い看板に「訪客請按鈴(訪問者は呼び鈴を押してください)」という字が
飛び込んできますが、呼び鈴などない(と思われる)し、あったとしても押している人を見たことがないので
気にせず中に入っちゃってください。
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敷地内を入ると目に飛び込んでくる「永遠忠誠」の文字
ちょっとビクビクしながら入口を入ると
目に飛び込んでくる「永遠忠誠」という標語。
近年「海軍訓練所」として使用されていた施設だけあって
中華思想らしさを味わってください…
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受付で記帳をしよう
意識しすぎると躊躇しかねない入口をくぐり、
正面に出てくる「永遠忠誠」という標語を横目に
右側をみると、野外の受付がある。
こちらで記帳をすると、パンフレットがもらえる。
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まとめ
日本統治時代、南洋を管轄し、
南方作戦にも欠かせない重要な通信施設として機能していた「鳳山無線電信所」。
現在は史蹟として保存されており、
当時の様子を感じることができる数少ない場所の一つとして、
是非とも訪れてみていただきたい。
台湾人にとっては戒厳令下、白色テロで拘禁された場所として、
負の遺産という扱いになっているという側面を十分に理解した上での見学をお願いしたい。