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高雄市立歴史博物館の概要
淡い緑色が特徴的な高雄市立歴史博物館。荘厳な西洋風の建物に日本風の瓦屋根という異質の建物は歴史を紹介する博物館として訪れる人はもちろんのこと、その特異な建造物を見るために足を運ぶ人も少なくない。
一目見てわかる通り日本に深~く関わっており、日本統治時代(1938年~)に市役所として建設されたものだ。日本が敗戦後中華民国に接収された後もその機能は引き継がれ高雄市政府(日本でいう市役所)として1992年まで使用された。
その後、1998年に現在の用途である歴史博物館として生まれ変わった。高雄市立歴史博物館には常設展と企画展があり、
常設展では「高小雄冒險記」と「二二八‧0306」が行われている。
特に、白色テロと呼ばれる「二・二八事件」を紹介している「二二八‧0306」の展示は観光客にはちょい刺激的な内容になってしまうが、その歴史を学ぶことで一歩深く台湾を知ることができるいいきっかけとなるので是非足を踏み入れて欲しいところ。
企画展の情報はこちらから
開館時間等
開館時間 | 9:00~17:00 |
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休館日 | 月曜日 |
入館料 | 無料 |
高雄市立歴史博物館のHPはこちら |
アクセス
地下鉄の最寄駅から近くないこともあり、
あひる家から自転車で10分程度で着くので自転車で行くのがオススメ。
タクシーを利用しても100元(350円)前後
高雄市立歴史博物館の見どころ
見どころ① 帝冠様式の建物
当時の近代的な西洋風の建築物の上に日本風の屋根を付けた和洋折衷の外観の高雄市立歴史博物館は「帝冠様式(興亜帝冠式建築)」という建築様式で建てられた歴史的な建造物。
この「帝冠様式」という建築方法はナショナリズムの台頭とともに誕生し 1930年代(昭和10年前後)にのみ一時的に用いられていた建築法で、 終戦後はこの建築法は事実上消滅しており、 日本建築の歴史の中でも貴重な建物となっている。
見どころ② 内観
帝冠様式で建てられた外観だけでなく内観も圧巻。
注目すべきは館内入ってすぐ正面の大理石でできたY字型の階段とアーチ型の廊下、そして太陽の光が差し込むと吹き抜けの天井。
西洋の建築スタイルに東洋(日本式)の瓦葺屋根を冠した外観だけでなく内観もその威風堂々とした姿となっている。
見どころ③ ジオラマ展示
「二二八事件」で武力鎮圧された様子を展示したジオラマは圧巻。
常設展の「二二八・0306」に設置されているこのジオラマが
20分の1スケールで作成されている。
当時の生々しい様子を再現したその精巧なジオラマは日本で制作されたものとのこと。
高雄市立歴史博物館トリビア
トリビア① 高の文字
トリビア② 外壁の色
トリビア③ 二二八事件・306が紹介される意義
常設展にて二二八事件を扱っている高雄市立歴史博物館。
よく見ると題名が「二二八・306」と306がついているのがわかる
この「306」は3月6日という意味で、高雄にとってこの日付は重要な意味を持つ。
1947年2月27日に台北で起きた事件であるが、その約1週間後の3月6日、
ここ高雄市立歴史博物館(当時の高雄市役所)が武力鎮圧による初めて死者が出た場所になった。
トリビア③ その昔別の場所にあった
日本統治時代、高雄の市役所として機能していた現在の高雄市立歴史博物館。
現在は別の場所に移動しちゃったんだけど、この建物ができるまでは(今の)代天宮という廟があるところにあった。
年 | 当時の場所 | 機能 |
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1924年~1938年前後 | 現在の代天宮 | 日本時代の高雄市役所 |
1938年前後~終戦 | 高雄市立歴史博物館 | 日本時代の高雄市役所 |
1945年~1992年 | 高雄市立歴史博物館 | 中華民国高雄市政府 |
1998年~現在 | 高雄市立歴史博物館 | 歴史博物館 |
おまけ:中華版帝冠様式の建物
愛河という川のすぐ近くに立つ、高雄市立歴史博物館。その愛河を挟んで少し先に帝冠様式風の建物がある。
この建物、戦後の1949年に建てられた建物で、
台湾の建築家が、帝冠様式で建てられた(現在の)高雄市立歴史博物館を模倣して建てたもの。
厳密には帝冠様式とは言えないだろうが、荘厳な造りで一見の価値はある!!